2013 米国USTR外国貿易障壁報告書

2013/04/02
2019/08/10

昨日、4月1日にアメリカ通商代表部(USTR)からオバマ大統領と議会に対して、
2013年度の外国貿易障壁報告書が提出されました。

アメリカ通商代表部(USTR)とは米大統領府内に設けられている貿易・通商問題に関するために機関で、大統領直属で働き、代表部長官には外交交渉権が与えられ、1980年代からアメリカの通商政策全般に関わる大きな権力を持ち、世界貿易機構や経済開発協力機構などの国際会議にアメリカを代表して出席しています。
3月末~4月初めにかけて、外国貿易障壁報告書(NTEレポート)を出すことでも有名です。
(これはかなりアメリカ視点からのレポートなのですが、世界の主導権を握るアメリカが出す貿易官界にある全ての国・地域・枠組みが網羅された正式なレポートということで、どの国も無視できない展開となっています。)

その中身は、貿易に関することだけでなく、アメリカのモノ、サービスの輸出からアメリカ国民による直接投資や知的財産権の保護に影響を与える「外国の貿易障壁」も取り上げられ、障壁にはアメリカが国際的な取引を規制、妨害していると考える諸外国の措置や政策も含まれています。

具体的にどういうことかというと・・・・
例として2012年度版の外国貿易障害報告の中で日本に対する一部の報告を見ていきましょう。

通信部門規制改革では
日本国内でNTTが寡占状態にあることを指摘し、アメリカ企業が新規参入しやすいように
NTT回線の使用料の引き下げ、ユニバーサルサービス制度の廃止、電波オークション制を含む至上主義にシフトする法改正を要求。

IT部門規制改革では
医療・金融・エンターテイメント・政府調達に至るまであらゆる分野のIT産業にアメリカ企業が参入しやすいように、規制緩和や法改正における影響力を強めることを要求。

農業規制改革では
農業部門の関税の引き下げや非関税障壁の撤廃を要求。

独占禁止法と競争政策の構造改革では
日本の談合システムが競争を阻害していると指摘し、独禁法の罰則の強化や、
公取委の影響力強化を要求。

夜のNY なんだか幻想的ですね

商業法構造改革では
アメリカ企業と日本企業が国際的合併・買収を行いやすいようにあらゆる法改正を要求。

司法制度改革では
日本でのアメリカの弁護士が全ての国際紛争を含む弁護士活動をしやすいように法改正を要求。

輸入政策では
米で市場に流通していない備蓄米や再輸出用の米をアメリカ産米として消費者に流通させること要求、小麦では製粉会社に売却する価格の引き下げを要求、豚肉では現在行われている多重課税を批判、牛肉では一定量を超えた輸入に関する課税が50%になることを批判、海産品は特定の商品の関税が高いことを批判、木材・建材についてはエスカレート式の関税方式を最終的に撤廃するよう要求、皮製品・靴に関しては二次関税が高いことを批判し、関税撤廃を目標にするように要求。その他さまざまな項目に関しても関税が高いことが言及されていました。

そのほかにも政府調達の項目に関しても
日本の公共事業の競争入札にアメリカ企業が参加できるように、企業評価基準を下げるように要求。
保険サービスに関しても現在の郵便保険が寡占状態だとして、保険市場に競争原理を取り組み、市場にアメリカ企業が参入しやすいように法改正を行うように要求。

他にもさまざまなアメリカ企業が日本で企業活動を行いやすくなるような要求が様々な分野で出されました。

2013年度の外国貿易障壁報告書では自動車や米、郵政などについての言及がありました。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130402/fnc13040208290002-n1.htm)
日本の参加が確実視されているTPPの交渉の際にもこの報告書で言及されたことが焦点になるとされていますが、どうなるのでしょうか?
どの問題がどのように言及されたのが、気になるところです。

そこで当社では、2013年米国USTR外国貿易障壁報告の全てを読み解き、TPP等の自由貿易協定での具体的な論点を徹底的に解説するセミナーを企画しました!

セミナー内では日本に対する要求だけでなく、中国、EU、韓国など日本の主要貿易相手に対する要求も見ていきます!

関係各者のみなさん、ぜひご参加ください!

~TPP等自由貿易協定の具体的論点を徹底解説~
速報!2013年米国USTR外国貿易障壁報告書の全て

4月12日(金)午後2時30分~午後5時30分 
講師:長谷部正道先生(㈱大和総研 調査提言企画室 主席研究員)
https://www.kinyu.co.jp/cgi-bin/seminar/250687om.html

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